第325回:男三人山梨旅⑤~温泉後編~
21時頃、ほったらかし温泉に到着。山の上の平地を少し整えて、簡単に施設を建てただけといった印象だ。綺麗すぎず、整い過ぎず、どこか適当な、名前通りほったらかしな雰囲気が、いわゆる都会っぽくなくて良い感じである。二つある浴場のうち、夜景がキレイと言われる方に入った。簡単に汗を洗い流してから外に出た。露天風呂は山の斜面に段々畑のように二段、大きな浴槽が作られたもの。見上げれば星が、見下ろせば甲府の夜景が一望できるその露天風呂に、3人で、乏しい語彙と拙い文章力とを精いっぱい駆使して「ここ最高じゃん」的なことを言い合いながら飛び込んだ。日々の練習の疲れや生活のストレスが癒されるのを感じつつ、閉店時間ギリギリまで、この日の旅を振り返ったり、いつものようにアホ話をして過ごした。KとNは浴槽の隅にあった大きな石の上に、一番気持ちよく寝転がれるポーズを熱心に議論していた。
「先輩、この姿勢が一番良いっすよ!」
「お前はホンマに分かっとらんな。こっちの方が良いに決まってんだろ!ちょっとやってみろ」
「ホントだ!これヤベー!」
といった具合に。
三連休最後の夜遅く、さほど客も多くない。おそらく先ほど我々を煽った車に乗っていたのだろう集団を見つけ、少しだけ身体を見せつけて威圧した。いくら車の運転が速くても、裸だったら間違いなく我々の方が強い。あまり調子に乗るなよ、と筋肉からテレパシーを送っておいた。
幸せな時間だった。これでまた明日から100%で頑張れると思った。
往路で予測していた通り、昼間大渋滞していた高速道路もこの時間になればガラガラ。一度談合坂で休憩し、日付が変わる前に無事、目黒に帰還した。何の計画も準備も下調べもなく、とりあえず行ってみた半日旅行だったけど、良い旅行だった。
今度はどこに行こうか。たぶんどこへ行っても何だかんだ楽しいだろう。また山梨へ行って、今度はゴムうどんとモモを食うのも悪くないな。