第338回:大掃除

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今月27日、今年最後の練習の後、選手みんなで柔道部寮の大掃除をした。僕の班は道場や治療室のある2階を担当。一番お世話になっている道場とその周りである。一年分の感謝を込めて、普段手を付けないような隅々までキレイにしてやった。道場の畳を掃いて雑巾がけはもちろん、周りを覆っているマット、製氷機やアクアクララの機械、水道回り、トイレを磨き、マッサージベッドや酸素カプセル等が置いてある治療室を掃除して、下駄箱とそこに詰まっている道場トレーニンググッズや個々の忘れ物たちを片付け・・・。

自分の手で掃除をして、改めて恵まれた環境だなぁと思った。青梅の片田舎で、体育館に自分たちで重たい畳をかついで出して敷いて、誰かのお下がり柔道着を大切に着まわすような環境で競技を始め、(高校はひとまず置いておくとして、)夏は灼熱・冬は極寒の慶應の道場で修業をしてきたことを考えると、俺もずいぶんと出世したものだ。

この施設を作って下さった社長が、柔道部員を前に「環境を整えすぎると、選手はその環境に甘えて鍛錬を怠る」旨の心配を吐露されたことがある。確かに環境がある程度制限されることによる成長もあるとは思うが、良い環境を活かすことの方がはるかに効率が良いのは間違いない。厳しい条件下での練習経験の多い僕には分かる。

自分たちには、これだけのバックアップがあるのだ。どんなことがあっても環境のせいにだけは出来ない。恵まれていることを忘れずに、その恩恵を最大限に受けながら、来年こそはもう一歩上に行けるように努力していこうと思った。