第352回:スカイツリー①
今月始めの週末、僕は初めてスカイツリーにのぼった。2012年の始めにそれが完成したと聞いて以来、一度はのぼっておきたいと思っていたがなかなかチャンスに恵まれず、またあまりにも定番過ぎるスポットをあえて避けたがる捻くれ根性のせいで、もうかれこれ5年間も足を運ばずに放置してきたスカイツリーである。
ツリーの麓にある「ソラマチ」に到着したのは昼過ぎころ。良い季節の週末とあって、ツリーへの入場チケット販売所も、ソラマチも人でごった返していた。この日はあまり天気が良くなく、分厚い雲が空一面を覆っていて、時々雨もパラつくほど。それなのによくこれだけの人がわざわざ高いところにのぼってまで景色を眺めたがるものだ、と思った。もちろん僕もその一人なのだが、都合のいいこの頭はそんなことには思い至らない。
ソラマチで少し遅めの昼ご飯を食べ、だだっ広い商業施設でウィンドウショッピングをし、スタバで休憩したあと、満を持してツリーへの列に並んだ。結局30分程度並んだのちチケットを手に入れた。一人当たり2千円ほどのチケット。これだけの人がのぼるのだから元はとれるのだろう。
チケットを買ってからはスムーズだった。世界一早いというエレベーターに乗って高度350mの展望台に一直線。エレベーターのボタンは4F・5F・340m・350mの4つだけ。スカイツリーならではだ。僕の記憶が正しければそのエレベーターの最高時速は分速600mつまり時速36㎞だ。車を運転する者として水平方向の時速36㎞はイメージしやすい。が、垂直方向にそのスピードで自分が打ち上げられているイメージは上手く掴めない。ただ鼓膜が内側からの圧力にパリパリしているのを感じながら、イメージ出来ない程の技術をジッと体感した。