第361回:北陸旅行(美湾荘)
全日本実業団団体戦を終えてから、僕ら柔道部は1週間のお休みに入った。こういう長期の休み(我々は「解散」と呼んでいる)は年に3回しかない。この大会が終わったあと、8月末の個人戦が終わったあと、年末年始の3回だ。
そんな貴重な長期休暇に、今回は前々からしっかりと旅行の計画をたてて臨んだ。何度か書いたように計画性のない僕とって、これは非常に珍しいことである。増してや柔道着を持たない旅行を自ら計画するなんて、本当に初めての経験であった。
さて、具体的にどんな旅行をしたのかというと、相方と2人、1泊目=富山市(試合前にチームで泊まっていいたところに延泊)、2泊目=和倉温泉、3泊目=金沢、4四泊目=白川郷という北陸をほぼ一周するような豪華な4泊5日旅だ。移動は全て富山駅北のタイムズレンタカーで借りたマツダのデミオ。北陸新幹線が開通して以来よくスポットライトが当たるところを出来る限り味わい尽くしてやろうというかたちである。
あまりに多くのスポットに行ったもんで、ここに全部を記すのは難しそうだ。だから印象に残ったものをいくつかピックアップして書いてみようと思う。
まずは2泊目の宿、和倉温泉街の“美湾荘”。名前の通り、七尾湾に面して建てられたこの宿、部屋の大きな窓の外には海が広がっている。そのちょうど真ん中に能登島がある。ギザギザした小さな島で、窓の中に丸々収まっていて、島から南と北へ延びる二本の橋まで見えた。この能登島が七尾湾の入口を狭くしているせいか、波はほとんどなく静かで穏やかな海である。
部屋は角部屋で、2人で泊まるには贅沢な広さである。立派な玄関、大きな居間、障子で区切った窓際のスペース、6畳の部屋がもう一つ。トイレ、洗面台、風呂はそれぞれ別々に十分な広さを持って付いている。たぶん4・5人で泊まれる部屋なのだろうが、2人で泊まらせてもらった僕らは、案の定奥にあった一部屋はまるまる使えなかった。もし柔道家2人で泊まっていたら、打ち込みくらいは出来であろう。
大浴場は一階にあって、露天風呂はもちろん海に面している。僕らが普段遊んでいる東京・神奈川の海に比べると水がキレイで、すぐそこを小さい魚たちがたくさん泳いでいるのが見えた。潮の香りを吸い込みながら、ダラダラと風呂に入る、試合の次の日の過ごし方としては間違いなく最高であった。
ご飯も美味くて、しかも米食べ放題で、隅から隅まで言うことない。
本当にありがとうございました。