第362回:北陸旅行(なぎさドライブウェイ)
次の日美湾荘を出発した我々は、能登島を通って北上し、能登半島の先端“禄剛崎灯台”まで行った。何をしに行ったというわけでもないが、一通り有名スポットを見ておきたかったのだ。
能登半島は、どうやら半島の先に行けば行くほどいわゆる田舎になるようだ。北へ進むにつれて、外を歩いている人がいなくなり、走っている車が少なくなり、コンビニがなくなり、信号がなくなっていく。いずれにせよ、貸し切り同然の自然の中を行くストレスフリーなドライブだった。
灯台に登る坂道の途中に、大きく「WELCAME」と彫られた木が立っていた。どうやら、北陸には僕より英語のできない人間がいるらしい。灯台は崖の上の草原に建っていて、なかなか凛々しかった。他に人工物がない分、少し大きくも見えた。崖の下の海は青く透明で、ところどころサンゴ礁みたいに色が違うところまで見えた。昼間テレビでやっている○○サスペンスで殺人が起きそうな景色であった。
灯台から今度は半島の西側を通って金沢を目指した。途中、“なぎさドライブウェイ”に立ち寄った。これは日本で唯一、自分の車で走ることのできる砂浜で、全長8kmの。この旅行を企画し始めた頃から目を付けていた期待のスポットである。
のと里山街道を途中で降り、海の方に曲がると、そのまま海辺に出ることが出来る。砂浜の入口に、潮風にやられて色があせた看板がポツリと立っていて「海に近づきすぎるな」等々の簡単な注意事項が書いてある。特に細かい制限はないようだ。波打ち際から防波堤まで幅数10mの砂浜を、何となく左側通行で自由に走れ、という感じ。窓を開けて、レゲェ調の音楽を少し大きい音でかけながら適当に車を走らせると、映画のワンシーンの中にいるような気分になった。海水浴シーズンでもない平日の昼間で、人が少なかったのが良かったのだ。8月頃になると混むらしく、砂浜で渋滞に見舞われるらしい。それでは爽快感もなにもない。
波打ち際数メートルのところに車を停めて、写真を撮ったり海に入ったりした。水が透明で、浅い海の中の砂を踏むたびに小さい海老が大量に逃げて行った。可愛くて美味しい奴らだ。
結局、8kmの行程を端から端まで往復してから、また、のと里山街道に乗って金沢を目指した。また今度、ガッツリ泳ぐ準備をして、夕陽なんかも観られる時間に行きたいと思う。