第364回:墓参り
先日、祖父の命日が近いので、墓参りに青梅の実家に帰った。我が一族の墓は、特に由緒ある厳ついものではない。ここ数年の間に、青梅の実家から近くてペットたちと一緒に入れるという珍しい墓所に、藤井家と母方の赤井家の二つをポンポンと建てた。藤井の墓には今は祖父だけ、赤井の墓には祖母が犬3匹と一緒に眠っている。二つとも可愛らしい小さなお墓だ。そんな大袈裟に祀らないでくれ、というのが僕らの考えなのだ。ちなみに、僕が死んだ時は、骨はどこかの海にばら撒いて欲しいと思っている。暗い石の中に閉じ込められるよりも、海に沈んで色んな所に漂う方が楽しそうだ。
今回は僕の家族4人、父方の祖母、姉貴の旦那の6人で、まだ気温の上がり切らない午前中に行った。お坊さんにお経を詠んでもらったりするわけではなく、自分たちで掃除して、花を活けて、線香を焚いて、お祈りする簡単なやつだ。
いつか何かの節に坊さんから聞いた話によると、死者の魂は墓にはなくて、僕ら残された家族の上だか後ろだかに漂っているものらしい。それを聞いてから僕の母は、いつも僕の試合の時に「なんとか勝たせてやって」と漂っている祖父母たちにお願いをするらしい。でも、残念ながらあんまり効果は出ていない。それはそうだ。僕の祖父祖母たちを思い出してみても、体力勝負に力を貸してくれそうなのは一人もいないもの。
さて、久しぶりにご先祖不孝なことを書いてしまったが、何だかんだ、僕がちゃんと人並み以上の身体と若干足りない脳みそを抱えて元気に生きていること、感謝している。いつか柔道以外の部分で、漂う祖父母がとてつもない力を僕に貸してくれることを期待しつつ、また来年も墓磨きに行こう。