第394回:草津旅行②
宿に戻ってすぐに貸し切りの露天風呂に入った。買ってきたお酒を積もった雪に突っ込んで冷やしながら呑んだ。なかなか良い感じだ。僕らの後に、他の客の予約は入っていなかったから、贅沢に2コマ分(45分×2)使ってのんびりさせてもらった。
そんな長風呂したせいか、相方がやたらと顔の肌が痛いと言う。確かに顔を良く見ると、鼻の下や口の周りに微かな擦り傷のようなものが出来ている。無意識のうちに自分で引っ掻いたんじゃないの、と言いつつも、沖縄のクラゲの件もあるし「大丈夫?絆創膏もらう?」と聞いておいた。そんな僕の内心に気付いたのか、相方は「大丈夫です!」と言いながら少し怒っていた。その後の相方の調べによると、草津の泉質は強い酸性で、殺菌作用が高い分、肌の弱い人は肌荒れするらしい。そんなお湯にガメつく一時間半も入っていれば、そりゃ擦り傷みたいにもなる、というわけだ。ちなみに僕は当然のごとく何ともなかった。
次の日の朝8時からのご飯の前に一風呂浴びようと7時半頃に起きた。相方も同じ時間に起きたけど、もう草津の湯が怖いらしく風呂には付いてこなかった。代わりに、汚い十円玉を渡して「10分くらい温泉に付けとけば酸で綺麗になるらしいから実験してきて」と言う。言われた通り、お湯を掬った風呂桶に十円玉を沈めて、一人風呂に入った。出る頃に十円玉を取り出してみると、確かに汚れは大分落ちたように見えた。ただピカピカと言うよりは赤光りしている感じで、確かに酸が強いんだなぁと思いながら部屋に帰った。その実験結果に満足そうな相方の顔の傷は、生乾きのかさぶたになっていた。
朝ご飯も、前日の夜と同じような感じ。ただ、お櫃の中のご飯が心なしか多くなっているような気がした。前日の夜お櫃を空にした僕らへのお爺さんの優しさだろうけど、流石に朝から3合近くはなかなかの量だ。ちゃんと全部食べたけど。