第403回:久しぶりの柔道

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人数が多い練習会、当然基立ち形式の乱取りだ。5分×5本の4セット。それぞれの所属に基を出す人数分の赤帯が配られ、各所属で指名された者が前に並び、それ以外の者がお願いしに行くのだ。最初は、もし帯が余っていたら1セットくらい基をやらせてもらおうと考えていた。甘かった。

2、3本連続で、強い方々と練習すると、すぐに身体が悲鳴を上げた。まず指が痛い。日々パソコンを叩くだけの指にとって、道着って、その肌触りだけで不吉な感じがする。その道着にぶつけたり、擦ったり、引きちぎったり、あっという間に指が真っ赤になった。次に、肺や内臓が気持ち悪くなった。ハァハァしすぎて気持ち悪くなる、あれだ。

この一か月間、割と意識高く走ったりウエイトトレーニングをしたりしてきたんだけどなぁ、とタメ息が出た。

 

結局、基に立つのは断ったけれど、なんとか頑張って7本乱取りした。身体はとてつもなくしんどかったけれど、まだそこらへんの大学生よりは強いことが分かって、ちょっと安心した。

後半は、もう乱取りはいいや、と練習を切り上げて、色んな所属の先生たち一通りに挨拶をした。ほとんどの先生に「あれ、お前もうやめたんじゃないの?」とか「また少し小さくなった?」などなど言われた。前者には「趣味です。」と、後者には「普通の人になるんです。」と答えた。引退してから激太りしたタイプの何人かの先生には「どうせすぐ太るよ!」とおこられた。

 

練習から帰って、久しぶりに道着を洗濯した。そういえば引退してから洗濯の回数もメッキリ減ったなぁなんて思った。10年間、毎日1回は当たり前、多い時は2、3回の洗濯をしてきたんだもの。その頃のクセで、ついつい大量の洗剤を買い貯めしてしまうのもやめないと。

一つ一つ、僕も普通の人になる。もうさほど悲しくもない。さて、次は何を頑張ろうか、とワクワクしている。