第415回:夏休み【秋田編】④

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次の日の朝は早かった。泊まっていたホテルが漫喫みたいな仕様で、周りの音が結構聞こえるせいだ。肉体労働らしき人たちが出勤の準備をする音で目が覚めた。たぶん6時くらいだったと思う。まぁ山を登るにはちょうどいい時間か、と僕も起きることにした。

とりあえずシャキッとしようと大浴場に行って、初めて外を見ると、なかなかの大雨。まいったなぁと思いながら、風呂に付いているテレビを観ていると大雨警報まで出ていた。体力には絶対的な自信があるけれど、大した装備も持っていない、山登りの知識や経験もない僕に、この条件下の白神山地はハードルが高すぎる。残念だけど今回は諦めることにした。

そうなると、さて、どこに行こうかと、また考えた。このまま北海道まで上ってしまうのもありだけど、流石に帰りのドライブがしんどくなりそうだなぁ。そうなると南下するか。山形?新潟?などと考え、結局、佐渡島に行ってみることにした。相変わらず、特に理由はない。強いていうなら、行ったことないし、なかなか行けなさそうだから。

風呂から出て、すぐに荷造りをして、チェックアウトをして、フェリーが出ている新潟港を目指した。

この秋田~山形~新潟の日本海側は、高速道路がつながっていない。ところどころ一般道で、ひたすら南下。ちょうど庄内平野を走っている時、少しだけ天気が回復して晴れ間が出た。ひたすら平らな土地に延々と田んぼが広がって、その向こうに霞がかった山の稜線が見える。なかなかキレイである。米が美味そうだった。

道すがらフェリーの時間を調べて、12時半頃出港するのを狙うことにした。佐渡島のホテルも調べて予約した。とりあえず金山が近くて安い宿だ。周りに何もなかったら困るから朝食だけ付けておいた。本当に行き当たりばったり。慣れてきた。悪くない。