第416回:夏休み【佐渡編】①

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新潟港にはフェリー乗り場がいくつかある。それを知らなかった僕は、最初間違った停泊所に辿り着いてしまった。誘導員の人に従って、船に乗る列に並んで車を停め、切符を買おうとしたところで売り場のお姉さんに言われて気が付いた。一人でボーッとしていたこともあって、本当に“ギリギリ”気が付いた。車もろとも、危うく小樽に運ばれるところだった。危なかった。

正しい停泊所に辿り着いて切符を買った。思ったより高くて動揺した。こんなもんなのか、と計画通りに買ったけれど、佐渡に着いてから弊社のレンタカー店舗を見つけた時は、「その手があった。何で気が付かなかったんだろう。」と、ちょっと後悔した。

時刻表のサイネージを眺めると、金曜日に佐渡に行く便と日曜日に新潟に帰ってくる便はほぼ満席になっていた。なるほど、佐渡もなかなか人気なのか。

 

その日朝から何も食べていなかった僕はフェリーの中の食堂で簡単な食事をした。ご飯が佐渡島の形で真ん中に配置され、その周りにルーが敷き詰められたカレーを食べた。インスタグラマーでも何でもない僕にとっては、このような見た目にこだわった盛り付けよりも量が欲しいものだ。

新潟から佐渡まで、およそ2時間半の船旅。食堂でカレーを食べた後は、その席でそのまま少し寝たり、船内を散歩したり、カモメと戯れたりして過ごした。雨こそ降っていないけれど、相変わらずドンヨリとした雲が広がっていた。一人で、天気の悪い中フェリーに乗って、本州が徐々に離れていくのを眺めていると、何だか日常生活からとんでもなく遠いところに行こうといているような感覚になった。その寂しさが心地よかった。