第417回:夏休み【佐渡編】②

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僕が今回降りたのは、佐渡の両津港という停泊所。佐渡島の東のくびれの方、両津湾の中にある。島に着いてから、その日取ったホテルの住所を調べて、ナビに打ち込んだ。そこで、自分が今晩寝る場所は、島の西側のくびれの少し北の方だと知った。島のくびれを横断する移動。所要時間は40分程度。近い。かなりウエストのキュッと締まった島のようだ。

くびれの東側、両津港の反対側が佐和田と呼ばれる地域で、僕の個人的な感覚では、島で一番栄えているように見えた。いわゆるチェーン店や、聞いたことのない名前の地方のスーパーやらコンビニなどが軒を連ねていた。正直、僕が中学生まで住んでいた“東京”の田舎よりは必要なものが揃っているように見えた。

この佐和田から北へ、山を一つ越えたところに、僕の宿「ホテル万長」があった。この一人旅、夜遅くまでブラブラしてから宿に戻る可能性が高いため深夜の帰宿でいちいちピンポンを押して玄関を開けてもらわないといけないような民宿は避け、出来るだけ安いホテルを選んだ。しかし、これがなかなか良い宿だった。キレイで広いロビー、温泉の大浴場、小さなバー、お土産売場、コインランドリーなどなど。柔道部の合宿で使っても申し分ない設備だ。通された部屋も、最大4人くらいは泊まれそうな広い和室で、風呂も付いていた。一人で泊まるのが少し申し訳なく、もったいない気がした。

 

ホテルに着いて、一息つく間もなく、外に走りに出かけた。土地勘のない場所で、暗くなってから走るのは危険だと判断した結果だ。例によってグーグルマップで周りの道を調べて、その日のコースを決めた。この日はもちろん金山メインのコースだ。

ホテルを出て、海沿いの道を北に少し行ってから東に曲がり山道へ。まず立ち寄ったのは“北沢浮遊選鉱場跡”なる遺跡。後からネットで調べた口コミ通り天空の城ラピュタの都市に雰囲気がそっくりな遺跡だ。山の斜面に建てられた、スタジアム観客席のような巨大な石段(上手く説明できないから、興味があればネットで調べてみて欲しい)にコケやら雑草やらがこびり付いている。説明によると、金山から採ってきた鉱石を、必要な鉱物と不要な鉱物とに分別するための施設だったらしい。簡単に言うと、金やら銀やらとただの石ころとのの比重の違いを利用して、水に沈むor沈まないとかの作業だ。遺跡の中に入ることはできなかったから、いったい何故そのチマチマした作業のためにこんな大掛かりな施設が必要だったのかは分からなかった。けれど、こういう圧倒的非日常の不思議な眺めが僕は気に入った。晴れていたら、草むら(遺跡がスタジアムの観客席だとしたら、ピッチの部分)で昼寝でもしたい気分だった。

遺跡から更に山を登って、佐渡奉行所跡なんかを通って金山へ。この山登りの途中から遂に雨が降ってきた。あまり理解されないけれど、僕は雨の中を走るのは嫌いじゃない。“ショーシャンクの空に”のジャケット写真みたいな心地よさがある、と感じるのだ。

結局この日は、金山の割戸と呼ばれる景色を外から眺めてから、一気に山を下ってホテルまで戻った。