第418回:夏休み【佐渡編】③
ホテルに戻って、汗と雨でグチャグチャになったものをコインランドリーにぶち込んで、大浴場に行った。大浴場には大きな風呂と小さなサウナと露天風呂があった。露天風呂は海に面していて、黒い空と少し激しくなってきた雨と灰色の海を眺めることができた。洗濯が終わる時間に合わせて風呂から出て、だだっ広い部屋にトレーニング着を干してから車で佐和田の方に行った。佐渡に渡ってからそれまでにやったことは、合宿と大して変わらない。
この日の晩ご飯は地元の回転寿司に行った。思えば一人で回転寿司に行くのも初めてだ。初めて行って気が付いたことは、食事に掛かる時間が、いわゆる牛丼屋よりも短い、ということだ。考えれば当然だ。席に着いた瞬間に目の前にはご飯が流れていて、それを片っ端から食べて、お腹がいっぱいになったら終了。たぶん本気出せば5分くらいで終わる。とは言え、流石に数分で席を立つには忍びなくて、少しダラダラして、それでも20分くらいで店を出た。美味かった。
車をホテルの駐車場に戻してから、近くの酒場を求めて辺りをブラブラした。結局この日はホテルから徒歩1分のところにあったスナックに行ってみた。僕の両親と同じくらいの歳の夫婦とバイトの女の子が一人いた。店に入ったのは9時ころで、恥ずかしいことに僕がこの日の一番客だった。カウンターが10席弱にテーブルが5個くらいの、まぁまぁ広い店内で、客=僕一人:店員=3人の不思議な構図でこの日のお酒が始まった。