第443回:Retired Player

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最近、週に一回くらいのペースで柔道をしている。主に、パークに練習に来てくれている明治の大学生、しかも比較的軽量級を相手に、ゼェゼェ必死になりながら、気持ちがいいと言える領域を大きく超える汗を流している。

そんな風に平和に趣味の柔道を楽しんでいたある日、たまたまパークにルーマニア代表の選手が練習に来た。ちゃんと国旗の入った道着でIJF(国際柔道連盟)既定の名前の入ったゼッケンを付けている、正真正銘のルーマニア代表。おそらく100㎏級と100㎏超級の二人。練習前、道場に彼らが入ってきた時から嫌な予感はしたが案の定、乱取りを「お願い」された。

ただでさえ海外の選手は、慣れない技を掛けてきたり力がケタ違いに強かったりして、対日本人に比べて怪我をするリスクが高い。引退して一年経ち、力も弱く、反応も鈍く、体重も軽くなった僕にとってのリスクは更に高い。しかも今の僕が怪我をするというのは現役とは意味が違う。仕事に支障をきたしたら目も当てられない。

かと言って、わざわざ日本まで練習に来た熱心な柔道家のお願いを断わるのも気が引ける。迷った。けど迷ってから「僕は引退しています」なんて言うのもカッコ悪いなぁと思ったし、冷静に考えると“引退“が練習できないという言い訳になるのかも微妙に思えてきて、しぶしぶ「OK」と言った。

持てる力を全て使って、精いっぱい相手したものの、予想通りの物凄い力でグルグル回された。力の強い相手には組手が命だが、その組手も指が付いてこないから悲惨だ。最早、怪我をしないのに必死だった。後半、特にバテてきて、コテッと転ばされた時、監督に「練習不足!」と言われた。「当たりめーだろ!」と心の中で言った。

趣味の柔道は大変だ。