第452回:ささやかな自慢

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ちょっとした自慢をさせてもらうと、僕は歯医者というものに行ったことがない。正確に言うと一度だけ、小学校の健康診断で「歯垢あり」の診断をされ、歯磨きの指導的なものを受けに行ったことはあるけれど、それだけだ。要するに虫歯はもちろん、今のところ親不知なんかも含めて、お口の中のトラブルとは完全に無縁に生きてきた。

こっちは自慢じゃないが、さほど神経質に歯を磨くわけではない。人と会う前、つまり朝はいつも磨くけれど、呑んだ夜なんかは面倒くさくって磨かずに寝てしまうことも多々ある。それでも、歯を壊したことがない。何だかよく分からないけれど、どうやら先天的に歯が丈夫なようだ。家族には人並みに虫歯的なものがあるようだから、遺伝と言っていいのかは分からないけれど、とてもありがたい。

そんな僕だから、世間では割と常識的に語られる「歯が痛い」とか「歯医者さんの仰々しい機械の怖さ」とかに共感することができない。それに、なぜ世の中にこんなに歯医者がたくさんあるのかも、あまり納得がいっていない。刑事ドラマを観て最近「人知れず死んで白骨化してから発見されたとしても、歯型のデータベースで身元を判明してもらえない」なんてことにも気が付いた。

とにかく、この年までそうやって来られたのだから、どうせなら死ぬまでお世話になりたくないものだ。最後まで自分の生まれながらの歯を食いしばってトレーニングして、飯食って死んでいきたい。

そんな僕のささやかな自慢と、小さな目標でした。