第515回:講道館杯 withコロナ①

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今月末、10/30(土)~1/1(日)、お馴染みの講道館杯が千葉で開催される。おそらくこれがwithコロナの時代になって柔道界初めての全国規模の大会のはずだ。通常であれば各世代の大会(インターハイとか全日本学生とか全日本実業団とか)で上位に入った選手が出場できる大会だが、今年はその各世代の大会が開催されていないものだから、ほぼ去年と同じメンバーでトーナメントが組まれているらしい。この時代になって初めての大会ということで、開催する全日本柔道連盟もアレコレと対策を講じているようだ。

大会は無観客で行われ、監督やトレーナー、付き人といった選手以外で会場に入る人間もチームごとに厳しく人数を制限される。出場する選手は試合前日に抗体検査を受け、陰性が確認されないと入場できない。入場できないどころか、各チームで一人でも陽性が確認されたらそのチーム全員が出られなくなる可能性もあるようだ。選手以外で会場に入る人間も、抗体検査こそされないものの、当日2週間前からの体調管理表の提出や各種同意書へのサインが求められるらしい。他にも、接触確認アプリ”cocoa”のダウンロードが義務付けられていたり、何かと忙しい。普段から説明文とか案内書とかをちゃんと読まない柔道家たちに、果たしてこれらが上手く伝わって、全員が無事に入場&出場できるのか、考えだすと、はたから見ている僕ですら途方にくれてしまう。運営側のバタバタぶりには同情したくなる。

柔道は、人との超濃厚接触を前提とする競技柄、コロナ時代での活動再開のハードルは高かった(高い)。それでも来年オリンピックが開催されることを信じて、少しずつ歩みを進めていかなければならない。今回の講道館杯を「開催する」という決断の裏にはその覚悟というか危機感というか、並々ならぬ思いのあることが感じられる。一人の元柔道家として、今回の大会が無事に成功することを心から応援している。ちなみに、成功の定義は「一人の感染者も出さずに」という意味ではない。ある程度の妥協があってもとりあえず大会として成立してくれればいい。最早、そういう時代なのだ、と僕は思う。