第539回:えらいのだ

Pocket

人の人間性や考え方に、“もって生まれたもの”と”育てられ方”、どちらの影響が大きいのか?

難問を考えることを生業とする人たちにとって、これは一つの大きなテーマであるに違いない。

最近僕は、僕自身について、”育てられ方”だなぁとつくづく思う部分がある。それは”たくさん食べる”ことを「偉い」と感じてしまうことだ。最近初めて一緒にご飯に行った人に、ちゃんと食べていることに対して「偉いねー」と言ってしまい、「え、偉いの?」と返され、そう言われて面喰い、「偉いのか?」と迷ってしまって、気がついたのだ。

思えば、僕のこの反応は、人間にはもちろんだが、それに限らず、生き物全般に対して起こる。犬や猫でも、亀や鳥でも、一生懸命にたくさん食べている姿を見ると無条件に「偉いなぁ」と思ってしまうのだ。そして、確信を持って言えるがこれは、”育てられ方”によるものだ。僕の育ってきた藤井家では、一生懸命にたくさん食べることは偉いのだ。

お陰で僕は、人一倍〜二倍大きな身体で生きてきた。健康診断のBMIで標準値を下回ったことはない。僕以外の家族の面々にも、飼っている猫や犬も含めたとしても、ごく控えめに言って痩せ型はいない。おそらくこれからも、死ぬまでその傾向は続くであろう。幸い今のところ、太りすぎて健康に重大な不安を抱えるようなことはないから別にいいのだけれど、一度くらいは細くなってみたいものだ、と思ったりもするこの頃。