第551回:大人の健康診断①

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今月上旬、健康診断を受けた。毎年会社に受けさせてもらっているごく一般的なやつだ。入社してから毎年、一通りの決まった検査をしてもらい「特に問題ないね」のコメントをもらう何てことのないイベントなのだが、今回は少し様子が違った。なぜなら、今回は僕が”30代”として臨む初めての健康診断だったからだ。

30歳以上になると、検査項目に検便と胃検査が加わる。検便については、もしかしたら凄く小さい頃にやったことがあるのかもしれないけれど、少なくとも僕の記憶には残ってなく、どちらの検査も今回が初めての経験だった。

バカみたいにご飯を食べる僕はもちろん便秘などとは無縁で生きてきた。だから今回、健康診断の1-2週間前に検便の検査キットが届き、当日までの1週間以内で2回の便を取ってこいと言われても、全く心配しなかった。3日前が日曜日だったから、昼頃に自宅で1回目の採取をした。初めての経験だったから、取り方も僕にとっては新鮮だった。便器にトイレットペーパーを敷いて、その上にトイレに流せる専用の紙を敷き、その上に出す、というもの。なるほど、だから会社のトイレに”健康診断の時期はトイレがよく詰まります。ご注意ください”的な注意書きがあったのか。健康診断の時期になるとみんなの便の量が増えるのかと思ってたが、なんてことはないトイレットペーパーが増えるから詰まるのだ。少し考えれば分かりそうだが、30歳になって初めて知った。

2回目の採取で予想外に苦戦した。というのも、僕は意外にも”自宅で出す”ことが少ないらしい。今まで意識したことがなく自分でも知らなかった。特に考えもせず、会社に検査キットを持っていかず「そのうち出るでしょ」と構えていたら、気がつけば健康診断前日の夜。その日夕方会社で出し切ってきたものだから、その時点で全く便意がなかった。「これはマズいぞ」と思い始めた。こんな図体をして、診断の受付で「出なかったので、後ほど送ります」なんて絶対に言いたくない。診断前は前日の晩ご飯と当日の朝ご飯が禁止されているから、とにかく食べて押し出す作戦も使えない。おかげで、次の日の朝になっても、大して便意が湧いてこない。僕は気持ちの弱い人間だから、こういう緊張感の中では身体が思うようにいかない。マズいなと思いながら、毎朝のルーティンであるランニングと英会話をこなした。こなしながらも頭の30%ではずっと「出さなきゃ」と考えている。まるで試合後にドーピング検査に呼ばれ、密室で軟禁されながら尿が出るのを待っている時みたいだ。いよいよ診断に出る時間になり、大した便意はなかったものの仕方なくトイレに行って踏ん張ってみれば、結局はまぁそれなりに立派なものが出て一安心したわけだが、思わぬところでプレッシャーをかけられ、無駄に疲れた1日となった。この反省は、次回にしっかり活かしたい。”会社に検査キットを持っていく”と。