第556回:フィリピンの英雄

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英語の勉強として毎日30分間、オンラインで英会話をしている。レアジョブというサービスで、だいたいフィリピンの講師と繋がって英語でお話する。毎日次の日の都合のいい時間にレッスンを予約する。講師は特に決まってなく、その時間に空いている人を適当に予約する仕組みだ。

いざ開催してしまえば、なんだかんだ盛り上がった東京オリンピック期間中のある日、挨拶がてらの会話で「週末は何をしていたの?」と聞かれ、「このご時世、どこにも行けないから、家でテレビでオリンピックを観てたよ」と答えた。オリンピックという言葉を出した途端、彼女は急にテンションが高くなり、「昨日、フィリピン代表が初めてオリンピックの金メダルを取ったんだ!」と言う。僕の英語の理解力では、”今回のオリンピックで初めて”金メダルを取ったのか、”今までのオリンピックで初めて”金メダルを取ったのかその場では分からなかったが、とにかくすごく喜んでいた。続いて「何の競技を観たんだ?」と聞かれ、「一番観たのは柔道かな。僕も昔柔道をしていたんだ」と言った。「日本は柔道が強いもんね。どのくらいメダルを取ったの?」と聞くから「金は9個だった」と答えると、「凄いね」と言ってはくれたものの、本当は「ちょっとやり過ぎじゃない?」と言いたそうだった。

後々ネットで検索すると確かにフィリピンのヒディリン・ディアスという選手が重量挙げで金メダルを獲っていた。そしてそれは”今までのオリンピックで初めて”の金メダルで、フィリピンは国をあげて大喜びしたらしい。そういう記事を読むと、また図らずも実際に現地の人の興奮に触れると、やっぱりスポーツって捨てたもんじゃないな、と思ったりする。同時に改めて、”金メダルを獲って当たり前”の日本柔道は厳しいもんだなぁと思った。