第563回:四国旅②

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空港で搭乗を待つ間に、移動時間に観るための映画をNetflixからiPadにダウンロードした。”七つの会議”と”YESTERDAY”と”Bohemian Rhapsody”の三本。いつも化け物とかが出てくる、脳みそを一切使わなくていい系の映画を好んで見る僕にしては、比較的まともなチョイスである。

こんな時代の、しかも平日の飛行機なんて、いったいどれだけの人が乗るんだろう、と思っていたが、意外にも客席はほぼ満席。もしスカスカだったら、勝手に席を移動して広々しようという企みは呆気なく消え去った。隣で相方が「LCCはやっぱり席が狭い」と文句を言っていたが、僕には普通の飛行機とこの飛行機の席の違いなんてあまり分からなかった。どっちにしろ、僕にとってはピチピチなのだ。文句を言っていた相方も、離陸する頃には眠り込んでいたし、僕は一人で”七つの会議”を見ながら四国を目指した。

“七つの会議”は池井戸小説の実写映画で、控えめに言ってもドラマ”半沢直樹”とほぼ同じような話だ。池井戸小説は大体読んでいる僕は、当然この本も読んでいたから、気楽に”半沢直樹”ワールドを味わった。1.5倍速で見たせいで、着陸する20分前くらいには観終わってしまった。中途半端な時間だから少し迷ったけれど、”YESTERDAY”の序盤だけ観ることにした。これは、ふとした瞬間に”The Beatles”が世界からいなくなって(いなかったことになって)しまい、それまでうだつの上がらない歌手だった主人公が”The Beatles”の歌を歌いまくって、人気が出て・・・というお話。公開された時のCMは覚えていたし、いつかノンビリ観ようと思っていた映画だ。着陸の衝撃で起きた相方も、iPad画面を眺めていたから、イヤホンを片方渡して、飛行機が停まるまでの5分くらい、一緒に観た。ちょうど主人公が、世界から”The Beatles”がいなくなったことに気がつき始めるシーン。適当に”YESTERDAY”を歌っていたら、周囲の友達から「それは何ていう歌?すごく良いね」みたいことを言われるシーンだ。シートベルト着用サインが消えて、一斉に乗客たちが立ち上がりガヤガヤし出したから、映画を止めてiPadをしまっていると相方が「今の歌は有名なの?」と聞いてきた。僕の世界からも”The Beatles”が消えてしまったのかと思った。