第565回:四国旅④
愛媛から香川へ、道中で景色が良いと聞いていた父母ヶ浜に寄ることにした。松山駅からだいたい1.5時間くらいで行ける。途中、石鎚山SAで、愛媛が推しているらしいじゃこ天と太刀魚串と鉄板ナポリタンを食べた。田舎ってSAなんかでも普通に美味しいからありがたい。失敗で落ち込んでいた相方も、美味しいご飯と、なんだかんだ良い旅になりそうな予感で復活してくれた。
父母ヶ浜は、要するにメチャクチャ遠浅な海岸だ。潮がひいてくると、それまで沈んでいた砂浜が出てきて、陸から見るとウユニ塩湖の茶色い版みたいな景色になる。夕暮れ時なんかに逆光で撮ると、被写体の影と、手前の海に反射した影が綺麗に見えて、いわゆる映え写真が撮れるスポットとして人気らしい。
僕らが海に着いたのは14時過ぎで、まだ潮が引く前だったから、ただの海岸だ。でもやっぱり東京神奈川の海に比べれば桁違いにキレイだし、臭くもないし、瀬戸内海だから波もなくて穏やかだし、天気も良かったし、やっと「遠くに来た」実感が湧いた。近くをドライブして、1時間後くらいにまた海岸に戻ってくると、潮が引き始めていた。ちゃんと砂浜が出てきて、沖に向かって塩たまりと砂浜が幾重にも重なっていた。ちゃんと旅行誌みたいになってんじゃん!と嬉しくなって、靴と靴下を浜に脱ぎ捨てて、ジーパンの裾を折り上げて、ジャバジャバと沖まで散歩した。海は暖かくて、砂はキレイで気持ちよくて、どこまでも行けそうな気がした。全長500mくらいの海岸で、僕らの他に20人くらい観光客チックな人たちがいた。しかし僕らのように靴を脱ぎ捨てて、果敢に沖に歩いていく人は他に誰もいなかった。みんな温室育ちなのだ、と思った。僕らもちゃんと映える写真を何枚か撮って、いよいよ高松駅に向かった。