第568回:四国旅⑦

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琴平を後にして、愛媛の道後まで移動した。前日に通った道を戻ったかたちだ。途中、松山駅でタイムズカーを返却して、乗り捨てができるレンタカーに乗り換え、その日泊まるホテルにチェックインした。いわゆる道後温泉本館から歩いて10分くらいのホテルで、キャンペーンか何かで安かったものの、大浴場もある割と良いホテルだ。チェックインを済ましてすぐ、無料のシャトルバスで道後温泉に向かった。本館はなんと補修工事中で、周りが工事用の足場で覆われていた。中も大部分が工事中で、一部のお風呂しか入れない状態。「まぁそういうこともあるわな」と本館の奥にある”山田やまんじゅう”でお土産を買って、適当に地の物が食べられそうな居酒屋で晩ご飯を食べてホテルに戻った。ホテルにちゃんとしたお風呂があってよかった。時節柄か、宿泊客も少なく、久しぶりの大浴場でこの上なくダラダラした。お風呂の休憩場には都市伝説(?)の”オレンジジュースの出る蛇口”があって、三杯くらい飲んでやった。

三日目、最終日は道後から、四国カルストを通って高知まで南下、高知空港から飛行機に乗るプラン。四国カルストに向かう道は、終始山道だ。右に左に忙しくハンドルを切りまくり、対向車とすれ違うのが一苦労というレベルの山道。登るにつれて徐々に気温が下がり、道路脇を流れる青い川が狭くなり、木々の身長が低くなり、微妙な景色の変化を感じていると唐突に四国カルストが現れる。急に木々がなくなり、見渡す限りの草原と、不規則に飛び出す白い岩岩が現れる。天気は晴れ、まだ日がさほど登っていない時間で、山々の影が草原にはっきりと線を引いている。この景色が僕は大好きだ。4-5年前に一度来てから、好きだ。なんとなく、村上春樹の”羊をめぐる冒険”を思い出す。最近読み直していないから、細かいことは忘れてしまったけど、ひょんなことから主人公が一匹の”羊”を探して旅をする物語だ。”羊”を探して北海道まで行き、そこで泊まったホテルに掛けてある一枚の牧場の写真に”羊”を見つけるシーンがあったと思うのだが、その写真てこんな感じだろうと、なぜか僕のイメージでは決まっている。残念ながら四国カルストには牛がいるのだけで、羊はいないのだが。

前回訪れた時より人が多く、キャンプでそこに泊まったと思われる人々が近くの水道で歯を磨いたりコーヒーを飲んだりしていた。こんなところで夜を迎えたら、死ぬほど寒いだろうけど、死ぬほど星がキレイだろうな、と思った。朝が早く、1軒だけあるお店も未だ空いてなかった。コーヒーとソフトクリームでも食べようかと思っていたから残念だった。しばらくカルストをドライブして、途中で何回か降りて草原を散歩したりして、登ってきた方とは逆の高知県の方に下山した。