第597回:半世紀へのエントランス(スタジアムver)④

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さて今回、もちろん凄く楽しかったライブではあるけれど、同時に心配になるライブでもあった。と言うのも、今回の公演、櫻井さんの声が全然出ていなかったのだ。特に後半、高音はカスカスだったと言っても過言ではない。代わりに僕が1曲くらい歌おうかと思ったくらい、つい2ヶ月前のPayPayドーム含め、これまでのライブでは考えられない状態だった。どんな曲目でも、最後まで絶対に音を外さず超人的に歌い上げるのが櫻井さんだったから、こんな彼は観たことがなかった。これが年齢のせいなのか、コロナ禍を経て久しぶりのスタジアム(屋外)ライブだったからなのかは分からないけれど、「櫻井さんも人間だったんだ・・・」と思った。そして、そんな状態でもハードな歌を、アンコール含めて果敢に歌っている彼が、今までにないくらい人間臭くて格好良く見えた。最近よく櫻井さんが気取った感じでするコメント「いつまでこうやって歌えるか、考えることが多くなった。だから今できる精一杯の演奏を今まで以上に大切にしている。」ってのが、おそらく自分でも思うところがあったんだなぁ。

そんな感じだったもので、もしかすると35周年記念ライブは開催できないのではないか?開催できたとしても、ホールとか小さい箱になり、チケットが当たらないのではないか?と少し不安になった。勝手にまだまだ続くと思っていたこのバンドも、着実に終わりに近づいていることをまざまざと意識させられ、ファンとして一回一回の鑑賞を大切にしていかなければ、と思った。