第598回:全国ラン①

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ここ2ヶ月弱、個人的にたまたま出張が多かった。多かったと言うより、平日はほとんど家にはおらず、どこか地方に出向くような日々だった。1カ所に長期間滞在する出張ではなく、全国の大きな都市を一通り巡るような出張で、北は北海道、南は福岡まで、実に色んな土地にお邪魔した。

今まで泊まりでの出張など行ったこともなかった僕にとっては、この経験は色んなことが新鮮だった。初歩中の初歩だが、新幹線や飛行機、ホテルの検索や予約などを一人でやったことがほとんど無く、最初は割とてこずった。もちろん現役時代の遠征や仕事で、新幹線や飛行機には人並み以上に乗ってきたし、ホテルにだってたくさん泊まってきたのだが、そういったものの手配は部のマネージャーさんがしてくださるから、僕自身で諸々の手配をしたことがなかったのだ。実に恥ずかしい話で、改めて現役時代の恵まれた環境に感謝である。ゼロベースで自由にホテルを選んで良いとなると「一体何を基準で選べば良いのやら」と途方にくれる中、一つ条件に加えたのが「周辺がランニングしやすそうか?」である。

平日はほとんど家に帰らないようになると、懸念されるのが運動不足である。つまりジムに行けないのだ。出張先では、どうしたってご飯は食べてしまう。それと同時に運動量を落としてしまうと、間違いなくデブまっしぐらである。だから出張先でランニングできるか否かは、僕にとって非常に重要な問題だったのだ。

しかし何をもってランニングしやすいと判断するか、はまた難しい問題だったが、何となく「シンボリックなスポットがある」あるいは「近くに大きな河が流れている」が大事だと考え、それを意識したホテルたちを選んだ。シンボリックなスポットは、そこに向かって走るだけでテンションが上がるし、河は河川敷を走るときに信号が無くて楽なのだ。仕事での出張なのだから、訪問先に近いという条件はもちろん最優先ではあるものの。