第600回:全国ラン③

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広島では、八丁堀駅あたりから平和記念公園を回って広島城まで行くコース。あいまいな僕の記憶によれば、平和記念公園に来たのは中学校の修学旅行以来。およそ15年以上ぶりだ。ちょうど戦争や平和というものについて考えさせられる昨今、少し悲しい気持ちになりながら走った。広島城は、お城の周りがちょうどスタジアム建設中とのことで、いまいち上手く近づくことができなかった。残っているお城自体もあまり大きくはなく何となく不完全燃焼であった。

神戸は三宮駅近くだったから、初日は海の方:ポートアイランドの端っこまで走り、2日目は山の方:名前もないような展望台まで走った。ポートアイランドはいかにも埋め立て地で、大きな物流倉庫・集合住宅・新そうなIKEAしかなかった。信号が少なくて走りやすかったけれど、あまり面白い景色はなかった。逆に山の方は、古くからの港町風情が存分に残っていて、坂道はキツかったけれど面白かった。随分ストレートな言い方だが、”外国人居留地”というエリアらしく、昔僕の住んでいた横浜の港の見える丘公園付近を連想させた。

仙台は、仙台駅近くから仙台城跡を目指して走ったのだが、道路補修工事かなにかで道が通行止めになっていて全く近づけなかった。仕方ないから城近くの東北大学の周りを走り、近くの広瀬川沿いを通って帰った。ちょうど大雨が降ったタイミングだったから、河は茶色く荒れ狂っていた。付近の住人がチラホラと心配そうに河の様子を見に来ていた。後々ニュースを眺めると、一部地域では河川付近の住人に避難指示も出ていたようで、本当の大雨だったのだ。僕が走り出したタイミングではほとんど降っていなかった雨も、ゴールまで残り2-3km辺りでまた本降りになり、ホテルに着いた頃には汗と混じってとんでもなくビショビショになった。ポタポタと水滴を垂らしながらエレベーターに乗り込む僕を、フロント係が嫌そうな顔で眺めていた。この厄介な雨は、僕が仙台から帰ってくる頃も降っていて、会社から駅までの道のりでスーツのズボンとキャリーバックは救いようもなく濡れた。傘とキャリーバックって相性が悪い。濡れた状態で新幹線に乗るのもなかなか居心地が悪い。出張中の雨は最悪だということを学んだ。