第605回:夏④

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大人になっても、河ですることは基本的に変わらない。岩場から飛び込んだり、浮き輪に乗って流されたり、石で水切りしたり、である。自分で言うのもなんだが、僕はそれら一つ一つの遊びのプロである。10年弱くらいは毎日のように通っていたのだから当然だ。もう、この河で大きくなったと言っても過言ではない。河の地形や流れもほぼ隅々まで頭に入っている。どこから、どうやって飛び込めば安全か、どうやって流されれば楽しいか、全部コーディネートする。水切りだって素人のそれとは比べものにならない。我ながら「みんな、優秀なコーディネーターがいて良かったな」と思った。

大人になっても、河ですることは変わらないけれど、やはり体力や遊びに対する気力は弱くなっていて、昼頃には、ボチボチ引き揚げた。昔は朝から、日が沈む寸前まで遊んでいたのだから大したものだ。空き家でシャワーを浴びて、軽く掃除をしてから、都心への帰路についた。毎度のことだが、帰路の車の中では大体みんな寝る。1泊2日ガッツリ遊んで、最後には水に入ったら、そりゃ眠くもなるだろう。そんな中で「今回もちゃんと楽しかったな」と思いながら、誰も聞いていない故に好きなだけ掛けられるMr.Childrenを流しながら、まだ混み始めていない日曜日の中央道を走って帰った。

週末がそんな感じで充実していると、いつの間にか8月も最終日になっていて、例の如く慌てて筆を取っているこの頃だ。9月になると河の水が冷たくなって、素人を引き連れての川遊びはなかなか難しくなるけれど、空き家のベランダでのBBQはいつでもできる。「今度は焼き芋パーティでもしようか」と仲間と計画している。実に人生楽しんでる31歳だ。