第608回:老い③

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いかんせん肉離れ素人だから、一体どんな対処をするのが正解なのかも分からず、Googleで「肉離れ 対処」を調べた。道場の隅で、iPhoneでそんな検索をしていると、運動経験の乏しいオジさんみたいだ。

Googleによると、肉離れ受傷直後の対処は他の怪我と大差なくアイシングとのこと。マネージャーさんに氷嚢を作ってもらって腿の裏に当て、とにかくこれ以上の痛みが来ないことを祈りながら残りの練習を見守った。

どういう内情か定かではないが、数時間経っても、夜になっても、次の日になっても痛みの具合と強さは変わらないでいてくれて、多少足を引きずるけれど、まぁ普通に歩ける程度で済んだ。仕事に支障はきたさない。それが本当によかった。

現在、受傷後10日目くらい、歩くのは問題なくジョギングくらいはできるようになってきた。ただ、腿の裏は以前少し腫れていて、ここ2-3日くらいで色が紫になってきた。おそらく腫れているのは、無理にジョギングとかを継続しているからで、紫になってきたのは内出血が見えてきたということだ。内出血が見えてきたということは、治りが近い。あと1週間くらいで問題なく動き回れるようになるはずだ。

ただ肉離れってのは、治った後も少々厄介で、クセにならないようにケアをしないといけない。一回受傷した部分は筋肉にシコリができて、また強い負荷がかかった時はそのシコリの前後が切れやすくなる。入念なストレッチやマッサージ、電気治療なんかを駆使して柔らかくしていかないといけない。怪我ってのは本当に面倒くさい。

それにしても、今回の一件は自分の老いをつくづく感じる事件だった。今更だけど、僕は身体が固い方ではないし、練習前のストレッチや準備体操はめちゃくちゃ入念にするタイプだ。だから、決して練習を舐めていた訳ではなく、今の自分にできる最高の準備をして臨んだ舞台で、怪我をしたのだ。しかも現役中は追ったことのない怪我を。これは老い以外のなにものでもない。そろそろ自分の身体を過信せず、身の丈にあった運動をしていかないといけないなと思った。