第626回:三度目の正直①
4月の最初の週末は、会社の柔道部の付き人として福岡に行ってきた。付いた大会は国内の体重別ではおそらく最もレベルの高い全日本選抜柔道体重別選手権大会である。
引退してから付き人で福岡に連れて行ってもらえるのは今年で4回目。ちょうどコロナの流行が始まった2020年4月、「感染拡大防止の観点から、付き人は同じ所属の者にしよう」という方針に基づいて急遽声をかけてもらったのが最初。そこから4回も連れて行ってもらえるなんて、逆にいえばコロナがただの風邪になるまで丸々3年間かかったわけだ。最初の2020年に付かせてもらった選手はその年限りだったけれど、2021年からは変わらず同じ選手に付いている。つまり今回が3回連続3回目の、この大会・その選手の付き人だった。
僕は現役時代から不真面目で、他人の試合をちゃんと見る習慣がなかった。引退してからはミーハー心で試合会場に足を運ぶことはあっても、熱心に誰かの試合を見るようなことはなかった。だから僕は、自分と現役時代に練習なり試合なりをしたことのない若手の(今の現役の)選手のことをほとんど知らない。それでも、こんな風に3年間も一人の選手に付いて(大会の時だけだけど)身近で戦いを見ていると、その選手の戦い方やコンディションなんかはもちろん、彼を中心としたライバル選手や相性関係なんかが少しずつ分かってくる。そして分かってくると面白くなるし、応援したくなってくる。何事においても”知る”というのは重要なのだ。ただでさえ少子化の時代に、加速度的に人生の選択肢が増える中、柔道の競技人口減少に歯止めが効かない。どうすれば”知ってもらえるか”が鍵なんでしょう。