第640回:青梅BBQ③

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一旦腹が落ち着くと僕らは川に降りる。ベランダの下を流れている小川ではなく、本流に行く。これも僕の小学校の頃の通学路から小道を下って降りる。僕の通学路には、駄菓子屋やら本屋やらカラオケやらゲームセンターやら、文明の誘惑は皆無だが、何にも代えがたい自然と贅沢な別荘があるのだ。

その大きな川で、崖によじ登って飛び込んだり、流されてみたり、石を放ってみたり、昔から何も変わらない遊びを一通りする。当然ながら僕はそれら全ての遊びのプロだ。なんの役にも立たない、生粋の地元民・田舎っ子のタイトルを総なめにして、川から引き上げる。

引き上げて空き家に戻ってから、今度は焼きそばを作った。焼きそばに限って言えば、鉄板でやるから炭火の意味はない。多分フライパンで普通に作った方が上手くできるような気がしなくもないが、その非合理さがBBQなのだ。さっきまでもたくさん食べたのに、10人弱でしっかり6玉食べ切った。今回はなぜかみんなよく食べた。そしてよく肥えた。灼熱の気温の中、みんなほぼ上裸で食べているから、青梅に来た時よりも確実にお腹が出っ張っているのがよく分かって面白い。

夕方になるかならないか、くらいにその家を後にして、我らが都心への帰路についた。意識的に少し早めの出発も、やはり僕らと同じように山や河、甘ったれたやつはサマーランドに遊びに来た連中が帰る時間になりかけていて、要所要所で道は混んでいた。運転手の僕は、同乗者がみな眠りにつくのを見計らって遠慮なくMr.Childrenをかけてノンビリ帰る。みんなが起きている間は、ちゃんとみんなが知っているであろうプレイリストをかけている。いささか気が効きすぎる人間なのだ、僕は。

今年もようやく夏らしいことができた。満足感に浸りながら中央道の渋滞にのまれながら。