第646回:炊飯器の代替わり①
10月の初めに炊飯器を買い替えた。
それまで使っていた炊飯器は、たしか大学に入学するタイミングで、寮のご飯というものがなくなったタイミングで買ってもらったものだ。だからもう15年近く使っていたわけだ。5合炊きで、白く丸っこい炊飯器。一人暮らしで5合炊きを持っている人も珍しい気がするが、僕はしっかりこのサイズを活かしてきた自負がある。1食で3合食べていた現役時代はもちろん、最近でも2合食べてしまう僕にとって、それは絶対に必要なサイズだったのだ。そして、こいつが生涯に炊いた米の量は、間違いなくそこらへんの家族に使われた炊飯器よりも多いと思っている。お櫃の内側があちこち禿げ上がっていることを除いて、動作面で特に故障はなかった(お櫃が禿げ上がっていることが、やはり買い替えを検討するキッカケにはなったわけだが)。それでも、かなり物持ちの良い僕としても「これだけ使ったら、もう一片の後悔も後ろめたさもない。誰に攻めることもできない。サステナビリティやら循環型社会やらの観点から見ても合格がもらえるはずだ。」と思えるところまで使った。だからとうとう買い替える決心がついた。
1辺30cm以上の炊飯器は燃えないゴミとかで普通に捨てることはできず、粗大ゴミ扱いになる。品川区の粗大ゴミ収集に依頼を出し、コンビニで買った200円チケットを2枚貼って、早朝に収集所に捨てた。どうしたって他の家電達よりもお世話になったそいつを捨てる時、少しだけ感じるものがあった。ごく自然に、心の底からありがとう、と言っておいた。