第653回:青梅市立第五小学校150周年④

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僕は学校に沿った細い道の上で、畑と学校に挟まれながら校庭のネット越しにそれを眺めた。よくキックベースでネット越えのホームランを打ってボールを探しに行っていた道だ。畑も家も、突然サッカーボールが降ってきてさぞ迷惑だったろうな、と今なら思う。当時はネット超えをした自分が誇らしく、「どんなもんだ」とボールを探していた。

晴れてもいない・曇ってもいない天気で、星はあまり見えないけれど、あたりが暗いから月はやけに明るく見えた。その月に向かって、すぐ目の前、50mくらい先の校庭から上がる花火は大きかった。これだけ近くで打ち上げを見るのはおそらく初めてだ。点火するボッという音、発射のバシュッという音、打ち上がるヒューという音、最後に火花が散るシュワシュワという音、全てがよく聞こえた。花火が開くドンッ以外の音をこれだけ綺麗に聞いたことがなかったから面白かった。もちろんドンッは腹の底が震えるような振動だったし、遠くの山々から木霊する音もなんだか青梅っぽくて良かった。自然を含む色んなものが150周年を素直にお祝いしている気がした。僕としても珍しく素直におめでとうと思った。

打ち上げは訳20分間続いた。大きいのも小さいのも20分分間ほぼ休みなく上がったから結構な本数使ってくれた日がいない。こんな片田舎の、どれだけの人が見ていたのかも分からない花火大会だ。ある意味もったいない、観ていた僕らからすれば非常に贅沢なものだった。

50年後、僕の会社が100歳になってこの学校が200歳になる頃、計画としては僕が大富豪になっているはずだから惜しみない寄付でまた盛大にやろうじゃないか。そんなことを考えながら品川までクルマを走らせた。