第662回:初パーマ①

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32歳にもなって大声で言うようなものでもないけれど、僕には「人生に一度くらいパーマとかかけてみたい」という野望があった。もちろんパーマをかけるためにはそれなりの髪の長さが必要になる。しかし僕は生まれてこのかた髪を伸ばしたことがなかった。柔道の競技特性上および前時代的な文化上、現役中に髪を伸ばすなんてことはあり得なかったし(僕としてはそれを特に嫌だと思ったことはない)、引退してからも暑苦しいのが苦手でずっと短髪で過ごしてきた。目安としては、耳に髪が触れない、おでこに髪が垂れてこないという水準をずっとキープしてきた。だから「人生に一度くらいパーマをかけてみたい」という野望に向けて髪を伸ばしてきたこの半年は、なかなかにストレスフルかつ新鮮な日々だった。

単純に耳やおでこを髪が触ってくるのが鬱陶しいのももちろんだが・・・去年の12月くらいからは、いよいよ頭が爆発してきて、毎日ジェルやらワックスやらでセットしないといけないという、とんでもなく面倒くさい日常を過ごした。ワックスやらジェルやらを付けるために、朝シャワーを浴びたあとにドライヤーもしないといけなかったり(このタイミングで生まれて初めてドライヤーを買った)、今まで必要のなかった作業・時間が必要になるというのは実にストレスだった。

1月から、周りの友達たちに「そろそろパーマいけるかな?」と聞いて回って、なんとなく大丈夫という意見が多くなった頃合いを見て、ついに美容院を探し始めた。普段髪を切るだけだったら、僕の頭は簡単なのか30分前後で終わる。だからいつも会社の昼休みなんかを使って五反田でチャチャっと美容院に行っていたのだが、パーマが加わると2時間もかかるとのこと。初めてだから、本当にそんなに時間がかかるのか、若干疑っていたものの、これだと流石に仕事中に行くには無理がある。仕方なく2月中旬の3連休最終日を使って、仕事もないけれど五反田で(なんとなく栄えている街にある美容院の方が腕がいいのかな、という素人なりの推察)、ホットペッパービューティーで割と口コミ評判がいいところで予約を入れた。