第664回:初パーマ③

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髪を洗って軽く切ってから、いよいよクルクルしてもらった訳なのだが・・・テレビで見る大阪のおばちゃんなんかのイメージで、頭の中では分かっていたつもりだけど、パーマというのは一巻き一巻き手で巻いていくんだね。脱脂綿みたいなのに薬品を染み込ませて、それと髪の毛一掴みを細いプラスチックの筒に巻きつけて輪ゴムで留める。それの繰り返し。機械とかで一気にクルクル〜ではないのだ。一巻き一巻き、実に現代ぽくない地道な作業だ。「なるほど、これは2時間かかるわな」と気がついた。薬品の匂いは、確かに今まで美容院で嗅ぐそれだった。これはパーマ剤の匂いだったんだ、とこの時に初めて知った。一つ一つが心の底から新鮮で面白くて、美容師さんが作業してくれている間ずっと、「それはなんだ?」とか「どうしてそうするんだ?」とか質問しまくってしまった。美容師さんも一つ一つ真面目に答えてくれるのだが、いかんせん僕に美容系の単語力がなく、残念ながらあまり話は通じなかった。

一通りクルクルが終わると、そのなんとも形容し難い間抜けな頭の状態で上からラップを被されて10分くらい放置された。一応持参した本を読んでみたりもしたけれど、鏡に映る自分の姿があんまり面白くて全く集中できなかった。いちおうの接客で美容師さんが「なんの本読んでるんですか?」と聞いてくれたから、「ファイナンス系のよく分からない小難しい本です」と答えたけれど、おそらくあまり通じていなかった。お互い言いたいことが通じない。まるで外国語同士で会話しているみたいな気持ちになった。