第665回:初パーマ④

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放置が終わると、また一巻き一巻き手作業でクルクルを取られた。「初めてだったので髪質が分からなかったんですが、ちゃんとパーマ入ってますね〜」なんて言われながら。少しずつ明らかになる自分の斬新な頭に、これは果たして似合っているんだろうか?と不安になった。「今日1日はできるだけシャンプーとか控えてください」と言われた。汗かくのはいい?と聞いたら「午後トレーニングでもするんですか?」と苦笑された。結構いろんな話をしたから、どういう人間か、バレてた。

最後にまた髪を洗ってもらって、ワックスでセットしてもらった。そして真ん中で折れる鏡で後ろから映されて仕上がり確認して完了。特に今まで不満を持ったことがある訳ではないけれど、あの最後の仕上がり確認のタイミングで「もっとこうして欲しい」と注文できるメンタリティ、僕は一生ないだろうなと思っている。

家に帰ってから、まじまじと頭を眺めてみても、結局これは似合っているのか、自分では分からなかった。ただ見慣れない故の若干の違和感を感じるだけ。こういうのが似合ってる・似合ってない、よく分からないから、結局オシャレにはなれないんだろうな、と思った。案の定、午後にトレーニングをして軽くシャワーを浴びた後、改めて鏡を見るとちゃんと髪がクルクルしたままで、化学だなと思った。

次の日、いつも通りに朝起きてシャワーを浴びて、ドライヤーを雑にかけて、美容師さんに教わったイメージでセットしてみた。いざ自分でセットしてみると、なんだかパーマ前とさほど変わらなく思えてきた。一日たって、少し見慣れたのもあったかもしれない。それでも会社で、自己申告せずとも「なんか少し垢抜けた?」とか「いい感じじゃん」とか温かいお言葉を2~3頂戴した。ここでやっと、とりあえず自分にとっての大いなる挑戦が、少なくとも失敗ではなかったことを認識して、非常に安心した。

毎朝ドライヤーして、セットして、の面倒くささに僕がどこまで耐えられるか、特に夏場の汗だくになる季節を乗り越えられるのか、甚だ不安ではあるものの、とりあえず1年間を目処にこの頭で生きていこうと思っている。お見かけした際は、どうか温かい目で見守っていただけるとありがたい。