第666回:変な家①

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この前、久しぶりに映画館で映画を観た。それが “変な家”だ。例えばデートとかで映画を「観る」ことが目的で観たというのではなく、付き合いや暇つぶしとかではなく、自分で観たいと思った映画だった。そういうのって、映画館で映画を観る以上になんだかすごく久しぶりな気がした。

“変な家”は漫画の原作(漫画よりさらに原作があったらごめんなさい)があって、それを眠れない日の夜に携帯でボーッと読んだことがあった。InstagramかTwitterの鬱陶しい広告の一つで、暇だからともポチッて読んでみた感じだったと思う。

原作での物語は、主人公の友人が購入を検討している一軒家の間取り図から始まる。その間取り図には、奇妙な空間がある。出入り口もない窓もない、何にも使われていない、何にも使うことができない壁で囲まれた空間。その空間をキッカケに、間取り図をよく見ると他にも奇妙な点がいくつも浮かび上がってきて、主人公はオカルト好きな不動産の専門家と一緒にその家に隠された謎にのめり込んでいく。というような話。若干ホラーのミステリーだ。

共感してもらえるか分からないけれど、間取り図ってなんとなくワクワクする。流石に自分に全く関係のない間取り図を日常的に眺めたりはしないけれど、例えば引越しの時とか、色んな間取り図を眺めるのってすごく楽しい。それに友達の引越し先のそれや、今住んでいる家のそれを見せてもらうのも結構好きだ。勝手に「ここにこれを置いて」とか、「この部屋はこうやって使って」とか想像するのが楽しいのだ。だから”変な家”の原作を読んだ時も、間取り図を起点にどんどん薄気味悪い想像が膨らんできて(膨らませるような描き方で)、なかなかに面白く読ませてもらった。

とはいえ、僕が漫画を読んだ時はまだ完結しておらず、想像をいっぱいに膨らませられた状態で、to be continuedだった。それはそれでなんとなく心地よかったけれども。そんなこんなで僕は今回の映画でやっと、数年ぶりにその想像に対する答えを得ることとなった。