第670回:シャイロックの子供たち①

Pocket

ジムのサウナに入る時、僕はだいたい文庫本の小説を読んでいる。家から200mくらいのところにあるブックオフで100円まで値下げされた本棚コーナーで、適当に気になったものを買い求めて読んでいる。読み終わったものはまた同じブックオフに持って行って買い取ってもらう。サウナで読んでいるが故に、ページによっては汗滲みができていたり、熱でよれた部分があったりもするのだが、だいたい5~10円くらいで買ってもらえる。キャッシュフロー的には1冊95~90円くらいで読ませてもらっているということ、手頃な娯楽だ。

僕は色んな作家を幅広く読む、というよりは気に入った作家がいたらその人の本をいくつか読むというタイプだ。ブックオフで100円になっているもの限定だから、割と選択肢は限られてくるが。また週に3-4回、1回あたり30分くらいの読書で、かつサウナの中で読むということから、あまり頭を使うような小難しい話や、伏線がいっぱいあって最初から最後まで注意深く読んでいないと面白くない話なんかは嫌厭しがちだ。ボーッとした頭で、細切れに読んでも楽しめる優しい話を好む。

最近は、そういえば”半沢直樹”シリーズしか読んでこなかった池井戸潤作品をいくつか読んでみている。この前はちょうど”シャイロックの子供たち”を読み終わった。池井戸潤らしい銀行での話で、何人かの登場人物それぞれの視点から語られる短編小説の形。ただそれぞれの視点をつなぎ合わせていくと、結局は一つの物語になっていくという若干混乱しそうな1冊だ。この本の中で割と印象に残ったのは、意外にも最後に入っている池井戸潤本人ではない人によって書かれた”解説”的なコーナーだ。誰かの感想を押し付けられても困るから、いつもはこういう解説コーナーは読まないのだが、この本に関しては”シャイロック”ってどういう意味だろう?と気になり、書いてあるかな?とページを進めでみたのだ。そこで”シャイロック”とは全く関係ないものの、なんとなく心に引っかかる感想に出会った。