第706回:正月の乱①

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今年は 1 月 1 日からちょっとしたトラブルに出会った。
年末年始の貴重な長期休暇は、割と意識高く勉強に励んだ。毎日、夕方から割と夜遅くまで、五反田駅近くのジョナサンに籠って一人粛々と頭に知識を詰め込んだ。普段「仕事が忙しい」と自分に言い訳をして、後回しにしまくった結果、予定よりだいぶ遅れている勉強を挽回しなくては・・・の一心で。
そんなある日、まさに 1 月 1 日、正月の夜、23 時くらいにジョナサンを出て、自転車置き場まで歩いた。五反田駅の東口エリア、歓楽街のど真ん中だ。道の脇で転がっている酔っぱらい、超ミニスカートに分厚いベンチコートを羽織り、小さい手書きの看板を掲げつつ面白く無さそうにスマホを眺めているガールズバーの店員、怪しいマッサージをカタコトで勧めてくるオバちゃんを横目に歩いた。
自転車置き場について、いざ自分のを出そうとするも・・・ない。あるはずの所にあるはずのものが無いと、一瞬脳がフリーズする。「あれ、どうなってるんだっけ?ここに置いたよな?あれ・・・?」と。しかしいくら考えても僕はそこに停めていたし、いくら見てもそこに僕の自転車はなかった。周りを見渡したり少しウロウロしてみても、やっぱりなかった。そこでようやく「やられた」と脳が認識した。
「もう!正月から面倒くさいな!」とプンプン怒りながら、今度は駅前の交番に向かって、来た道を戻った。またオバちゃんやガールズバーの店員や酔っぱらいの横を通った。そこでビビッと脳に訴えかける何かがあった。道の端の酔っぱらいは、自転車に跨った形で倒れているのだが、その自転車、俺のではないか!しかもよく見れば、チェーン鍵がされたまま、それが突っかかって前に進めずに倒れた様相。今、改めて考えると、その場でその酔っぱらいを蹴っ飛ばして警察に突き出しても良かったと思うが、こういう時の僕は逆に冷静になってしまう。