第714回:大逆転劇

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柔道家って食力(くいから:ご飯を食べる力・食べたいと思う力を意味する、僕が住んできた界隈の勝手な造語)強い人が多いから、引退して運動量が落ちるとだいたい太る。食事をしっかり節制するか、非アスリートとしては異常なほど運動をし続けない限り太る。たまにスポーツを引退して運動しなくなると自然と食欲が落ちる」なんて言う人もいるけれど、僕に言わせればそういう人は、もともと食力が強くないって話だと思っている。正直弱いって話だと思っている。

僕の柔道部の同期で、元々66kgの選手だったがいる。彼も食力は、強い。お菓子や甘いものもよく食べる。だから引退した後は当然のようにどんどん成長してきた。そして最近遂に、90kgなったらしい。と同じ体重だ。僕は元々100kg超級の選手で120kgくらいあったから、10年弱かけてお互いに歩み寄り、50kgの差を埋めたということだそこらへんの女性1人分の体重を、埋めたのだ。この規模の歩み寄りは、なかなか見ないだろう。

かくいう僕も食力は強い。かなり強い。これには絶対的な自信がある。引退したってその力は衰えず、今でも腹が減っていれば米3合くらいペロリだ。だから90kgになるためにはかなり節制したし、かなり運動してきた。今でも日々食べたいのを我慢して、歯を食いしばってトレーニングをして、キープしている。

だからこの状況を目の前にした時は、「俺よく頑張ってるな」と改めて自分を褒めてあげたくなったし、同期の成長ぶりにも「それはそれで大したものだ」と感心してしまった。

とりあえず直近で僕に体重を落とす予定はないけれど、同期の成長はまだしばらく続くのではと思っている(密かに期待している)。お互いに歩み寄って、遂に逆転されるわけだ。もちろん悔しくはない。心晴れやかに送り出してあげようと思う。3kgの世界に。