第765回:フルマラソン⑦
ゴールの競技場まで最後に登り坂。膝をカクカクさせながら、もはや走っているとは言えないスピードだったけれど、ここまでくればリタイアはない。もう行くしかない。気合い。根性。意地。我ながら、自分ってメンタル相当強いな、と思った。
競技場内に入って、ゴールはどこだと探すと、400mトラックをほぼ全体的に使って、グルッと300mくらい先にある。今まで「42kmも42.195kmも大して変わらない。最後の195mなんて、どんだけ疲れていても走れるでしょ」なんて思っていた。とてもじゃないが無理。這いつくばる寸前、顔も上がらない、手も上げる気にはならない。舐めたこと思っていた自分を心の底から叱りたい。トボトボと静かにゴールテープを切った。
最初に書いた通り、記録は3時間46分55秒。最後の区間40~42.195kmは、1km当たり8分20秒とのこと。一般的な徒歩は1分当たり80mと言われている。つまり1km当たりでは12~13分ということだ。そう考えると、あの足でよく8分20秒で収めたな、と思う。もう自分が前に進めているのかもよく分からない感覚だったけれど、素人の競歩くらいにはなっていたのだろう。
トラックの内側に誘導され、ドリンクをもらえるところで水二杯とポカリ二杯を一気に飲んだ。Sの位置情報を確認すると、まだゴールまで15分くらいはかかりそうだった。ここでジッと待ってのは寒すぎるし、芝生に座り込んだら、おそらく一生立てなくなりそうだったから、一人先に進むことにした。競技場の出口で、完走証という賞状みたいなのをもらって、手荷物受け取り場所まで行く。一つ一つの動作に恐ろしいほど時間がかかった。かなり酔っ払った時、酔っ払ってないように見せるため、全身の感覚をフル動員して、なんとかまっすぐ歩くような状態だった。