第787回:富士山登頂⑤

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シミュレーションした通り、とにかくゆっくり、休憩しながら登ることを徹底的に意識した。登山アプリ“YAMAP”で自分の現在位置とその標高を見ながら、高度100m上がるごとに5~10分の休憩を挟んだ。

まさに登り始めるまで知らなかったのだが、富士山の◯合目って、純粋に距離や高度で等分されているわけではないらしい。それまでの僕の認識は「富士山の山頂が標高3,776mだから、一合あたり377.6m。五合目なら1,888m、六合目なら2,265.5m・・・」だった。実際はそうじゃない。須走五合目が2,000mちょうど、六合目は2,400m。完全に「どゆこと?」だ。調べてみると、各登山ルートの難易度や、山小屋の位置など、“目安“で区切られているらしい。そういうところ、キッチリ管理したい僕としては全く納得できないけれど、とりあえず登り始めて1時間くらいで六合目に到着した。五合目から六合目は、僕の知っている普通の登山という感じ。つまり木々に囲まれていて、その間にある道を、根っこや石段なんかに足をかけながら登っていく。六合目には長田山荘という山小屋があって、そこのおばちゃんに挨拶した。おばちゃん曰く、前日にまとまった雨が降ったらしい。確かに全てが濡れていたし、霧も深かった。

六合目を過ぎると、今度現れたのは“本六合目”の標識。「さっきのはウソ六合なんかい?」と思った。ここまで来るともうメチャクチャ。なんでもあり。合目はアテにしないことにした。本六合目を通過して七合目までは、徐々に木が少なくなり、岩場・砂利道になっていった。頭頂部がハゲて、横だけ毛が残っているオジさんの頭みたいなものだ。ここら辺だけ霧が晴れていて、見晴らしがよかった。山頂部には分厚い雲がかかっていて見えないけれど、左右は禿げ上がった山肌がどこまでも続いていく景色。須走ルートは、登山ルートと下山ルートが別れていて、数百メートル遠くを何人かが滑り降りていくのが見えた。「あれが砂走りか・・・滑り降りるから、確かに早そうだ〜」と帰路に希望を持ちながら、深い霧のかかる山頂を目指した。