第96回:合宿中に考えること
どんなに上手く説明できたところで、実際に経験してみないと理解できないことが世の中にはたくさんある。「 全日本合宿のキツさ 」 がこれの一つだと僕は思う。だから、どんなことをしてきたのかここでは書けない、書かない。その代わり今回はどんなことを考えながらやってきたのか書いてみることにする。
合宿中に考えること・・・( いかんせん今現在合宿中だからまとまってないけど勘弁 !)
やっぱり一番思うのは、みんな一度でいいからこのトレーニングを、この練習を、実際に経験してみて欲しいってこと。もういっそのこと韓国の兵役みたいに 「 日本国民は20歳から25歳までの間、一ヵ月に一週間全日本合宿に出席しなくてはならない 」 なんてのも悪くない。そしたら結構根性のある国になるかもしれない。その前に人口が少し減っちゃうかもしれない。なーんて。とにかく、この過酷さをみんなに知ってもらいたい。ゲロ吐くまで走りこんで、指やら皮膚やらから血が出るまで練習して、寝られないほど疲れて。想像して。これじゃ嫌でも強くなる。強くなるんじゃなきゃやってられないよ、まったく。
ただね、こんな中でも一つだけ気を付けていることがあるんです。それは、前にも書いたけど、自分が一番ツラいことしてるんじゃないって意識すること。僕は、大変なことをしていると、つい、自分が偉いんじゃないか、って気がしてきちゃう。たぶんたくさんの人間がそう。こんなに頑張ってるんだからチケットくれろよ、とかね ( 『 第51回合宿症候群 』 を参照してね )、思っちゃう。そういう時に一歩引いて、何のために柔道やってんのか、頑張ってんのか、意識すること。どこにいてもやっぱりボスの声はする。
「 我々の柔道ってのは人生の先行体験だから 」
こんな感じで一週間、11月28日から12月3日まで、毎日毎日言葉通り死ぬ気で頑張って来た。たぶん強くなったと思う、たぶんね。今週一週間はしっかり心・体を休めつつ、合宿中は他のみんなが強すぎて、投げられすぎて押えられすぎて、もう半分忘れてしまった 「 人間の投げ方・押え方 」 をゆっくり思い出していきたいと思う。そんでもってもう次の週、12日から今度は国際合宿。9日から11日まで東京で開催されるグランドスラムに出場した外国人選手たちと一緒にやるやつ。まためそめそ泣き言繰るかもしれないけど、よろしくお願いいたしますです。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳