第98回:福島県警の話

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先週の土曜日17日、「 政策立案論 」 という主に犯罪対策を扱う授業の補講があった。合宿明けの次の日の午前で、眠いし、身体痛いし、正直かなり出たくなかった。でも合宿続きで何回か欠席しちゃってるし、単位のために行くしかないのだ。筋肉痛の釣り手でギアを切り替え、引き手でハンドルを操り、ツリそうな軸足でアクセル踏んで、やっとの思いでSFCに辿りつく。
完全に柔道モードから抜け出せていない頭で、いつもほどやる気もなく臨んだこの授業が、予想外に良かったという話。

ゲストスピーカーは福島県警勤務の警察官。前半は一種の犯罪や防犯についての講義をしてくれた。僕は脳みその半分で相四つの釣り手について考えながら、「 やれやれ、世の中には悪い奴がいるもんだ 」 ってボーッと聞いていた。しかし後半話題が変わった。震災当時、福島で何が起きて、警察はいったい何をしていたのか、を主にビデオで紹介してくれたのだ。これが衝撃的。知らなかったことがあったとか意外なことがあったとかじゃない。ただ今まで報道を見たりボランティアに行ったりしても、被災者の視点でしか震災を見ていなかったということだと思う。自衛隊や消防や警察の活動についての報道も、僕はやっぱり被災者側に立って聞いていたのだと思う。初めて、助けなきゃいけない、事態を把握しなきゃいけないという立場の人の視点から話を聞いたということだ。考えさせられた。鳴り続ける110番通報にただ避難して下さいとしか言えなかった人。遺体安置所で身元の判明と、遺族への連絡をする人。遺品を集めてキレイにして持ち主に返す人。放射能の中、生き埋めになった人を探した人、救助した人。ただ 「 偉い 」 とか、「 勇気がある 」 とかで終わるんじゃなくて、そういう人たちの存在をしっかりと覚えていたい。と同時に、正直自分の中でも少しずつ風化してきていた震災について、今一度自分に出来ることを考えていこうと思った。

スポーツとジャンルは違えど、世の中にはキツい中で頑張っている人がたくさんいる。僕も全日本合宿なんかにビビっている場合じゃない ! 次は28日から年越しで合宿。一般的に言われてるような正月から離れてかれこれ7年目。どうせやるなら頑張るしかない。ちょっと怖いけど・・・。

次の合宿まであと6日。

更新:2011-12-24
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳