第107回:苦戦

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ついさっき千葉勝浦、国際武道大学での合宿を終え、荒れた天気の中、アクアライン海ほたるを通って帰ってきた。今回の合宿ではあらゆる面において、思っていた以上に厳しい戦いを強いられた。

まずはメンツ。僕はこの合宿を、会場が武大だから武大を中心にした学生同士の練習試合がメインだと考えていた。ところがどっこい、警察や実業団など、それこそ全日本合宿で一緒に練習しているような方達がたくさん参加していて、それこそ全日本合宿のような練習をし始めたのだ。気持ちを切り替えて集中していくのに苦労した。

次に勝浦という土地。今まで高校時代の若潮杯を始めとして、何回か勝浦には行ったことがある。でも今回自分で運転して行ってみると、買物やら食事やらするところがほとんど無いということが改めてよく分かって困ってしまった。その町で大規模な柔道合宿なんてしてるもんだから、町中いたるところに柔道家がいる。コインランドリーなんて24時間体制で柔道着をまわし続けていた。

一番苦しめられたのは、慶應が貸切で泊った旅館。これがとにかく・・・。まさに 「 現代日本にこんなところが・・・」 とカルチャーショックであった。
部屋は和室で7部屋くらい用意してある、と言われて行ってみると大部屋二つに慶應生21人がギュウギュウに押し込まれた。部屋も廊下も薄暗く狭くてホコリ臭く、どうしようもなく汚い。120キロが移動するたびに建物全体がギシギシと音をたて、実際に床が抜けて畳がえらく凹んでいる所もある。トイレの鍵はずいぶん昔に壊れていたようで、中から鍵を掛けると壊さない限り出られない。駐車場は自称10台だが実際にはせいぜい4台で、奥に停めた2台は手前がどかないと出られない。練習中に携帯を充電しておいても帰って見れば、節電という名目でコンセントが抜かれている。風呂は同時に二人までしか入れないうえに、夕方一日の練習が全て終わる時間にしかお湯を出してくれない。その代わりにと近所の、同時に8人くらいしか入れない銭湯の無料券を、21人に対して7枚ばっかり配られる。朝夕の食事は基本的に温度を失っていて宿命的に硬くなり、髪の毛が入っているのはもう当たり前。おかず自体も少なく、どうやって米を食えばいいのか分からないくらい ( 相模高校の寮飯を思い出す)。まぁ環境や設備は仕方が無いとしても、驚くべきは世話をする婆の態度。温かい食事が食べたいと言ったら、人数が多いから無理と言われ、温めるとなると嫌味ったらしく予定時刻より遅くなる。学生のサンダルを勝手に履いて外に出るのを注意したら逆ギレし、グチグチ言うな、とグチグチ言う。書きだすと止まらない。そんな詐欺のような旅館に1日6千円くらいで泊ったのだ。なんとも苦しい不思議体験であった。

そんなこんなで当初予定していたのを大きく上回る疲労困憊状態で帰宅。来週末には試合もあるし、きっちり調整していかないといけない。だからとりあえず自分が日本にいるということを思い出すため、今夜は仲間たちと焼き肉に出かけるのである。

更新:2012-03-03
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳