第111回:春選

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3月19日・20日、日本武道館で高校生の春の全国選抜選手権大会があった。19日の方は一昨年、我々の次の代から出来た個人戦。20日は、年に3回ある団体公式全国大会の一つ目で、代が移って最初の全国大会となる。今回僕は、慶應大学生として勧誘、東海大相模OBとして応援、で2日間とも現地で観戦した。

勧誘は主に、事前調査で何人かの生徒や学校をマークしておいて、ピンポイントで声をかけていく。慶應大学柔道部の存在アピールをしたり、僕もお世話になったAO入試という選択肢を説明したりする。最後に自分の名刺と受験案内と柔道部の広報を渡す。「 絶対に一度は目を通してみて下さい !」 なんて言って。僕自身2年前、慶應を受けようか迷っている時、あるいは受験に臨むにあたって大量の冊子や本をもらったけど、実際あんまり読まなかったなー、なんて思ったりしながら。
大学の視察生として、一般応援者は入れない試合場のフロアで選手をキョロキョロ物色している時、東海大の先生にお会いした。大学進学にあたって当時相模生だった僕を誘って下さった先生で、断った後でもとても良くして頂いている。「 おや、これはこれは慶應大学の藤井選手じゃないですか !」 なんて声をかけてくれて、一緒にたまたま慶應高校生の試合を見ていたら、「 慶應高校も強くなったねー。良い選手は東海に誘っちゃおうかな 」 と言われてしまった。「 僕には止める資格ありませんね 」 って笑うしかない。

20日の団体戦には東海大相模のOB、主に現大学生世代がたくさん応援に駆け付けた。僕も勧誘の合間をぬって、相模の試合の時は上階の応援席でみんなと一緒にギャーギャーやった。柔道に携わっているOBたちは合宿とか試合とかでしょっちゅう会ってるけど、もう柔道から離れてしまった人たちとか、かなり久しぶりに会うメンツも何人かいて、とても懐かしい雰囲気で楽しく応援した。
結果を言うと、相模は準決勝で東海大浦安に一人残しで負けてしまった。何だかんだいって母校が全国大会で負けるのを生で見たのは初めて。これがなかなか悔しいもので、想像していたよりずっとずっと、まるで自分のことのように悔しかった。試合を終えてガックリしながら下がっていく後輩を見て、一緒に応援していた現役選手の家族に 「 先輩、すみません 」 なんて言われちゃうと、どうしようもなく悲しい気持ちになってしまう。僕らいつも親に応援してもらうけど、ふと、自分の子供が試合するって、きっとこの気持ちの延長線上なんだろうなーなんて考えたりした。

「 泣くな ! 泣いても強くならん !」

林田先生が選手に言っていた。二つ目の全国大会は7月、福岡での金鷲旗大会。応援に行けるかは分からないけど、次こそは優勝してもらって、みんなと一緒に嬉し泣きをしたい。

更新:2012-03-31
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳