第139回:四面楚歌

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14日日曜日、講道館で年2回行われている紅白戦に出てきた。
これは無段から三段までの選手が、紅チームと白チームに分かれて、だいたい100人対100人くらいの勝ち抜き形式でやる試合だ。そこで6人抜き ( うち5個以上一本 ) をするとその場で昇段させてくれるという大変お得な大会だ。何を隠そう僕自身、去年のこれで運よく四段に昇段している。基本的に三段までしか出ていないこの大会に 「 四段でも出られるらしい 」 と唆され、今回一応エントリーしておいたのだ。
誰と戦うのか、行ってみなけりゃ分からない不安のような期待のような気持ちを抱えながら昼過ぎ、慶應のみんなと講道館に出向く。着いてビックリ。何と僕は白チームの大将に置かれていた。

紅と白のチーム分けは、同じ学校同士で戦うことのないように、だいたい〇〇大学は白とか△△大学は紅といったふうに分けられる。力もだいたい均衡するようになっていて、簡潔に言えば、紅はほぼ東海、白はほぼ国士舘なのだ。それで僕が白、国士舘側の大将だ。これはなかなかできない経験だ。「 よし、じゃあ円陣組んどこうか ?」 とか 「 大将に回すなよ 」 とか散々調子に乗って国士舘を応援した。全国大会の決勝で何度も何度も見た光景を、向こう岸から見ているような妙な気分だった。
そんなこんなしていたら、15人残しくらいで白が勝ってしまった。白チームはとても頼もしい選手ばかりで、大将の出番は全くなかった。
試合終了の礼が終わって 「 やれやれ、何しに来たのやら 」 と一人でボーッと考えていたら、最後に大役が回ってきた。勝ったチームの大将だから、優勝旗を受け取るのだ。

せっかくエントリーしたのに試合はできず、国士舘の大将をやって、あげくに彼らに見守られながら優勝旗なんて頂いてしまった。色々とこんがらかって思わず笑ってしまった。

という摩訶不思議な日曜日であった。

更新:2012-10-22
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳