第152回:え~…ご?
僕にとっての英語、それはまさに悪魔だ。いつからこんなに出来なくなったのか分からないけど、とにかく全く勉強してこなかった。いつかは向き合ってしっかり戦っていかなきゃいけない奴であることは心のどこかで分かっていた。けれどあくまで 「 いつか 」 であって、こいつには出来るだけ触れないように、捕まらないように、慎重に慎重に避けて生きてきたのだ。
そうこうしているうちに大学も最終年、気付けばどこから手を付けて良いのかすら分からなくなってしまっていた。高校の内容はほとんど分からない。中学のどこから分からないのかも分からない。どうやって何を勉強していいのかも分からない。とにかく身動きが取れなくなっていたのだ。
そんな僕を見かねた両親が、小さな英語塾に入れてくれた。先週から行き始めている。最初に見学に行った時には 「 どうせ一番下レベルなのはわかっているから必要ない 」 って言ってんのに、レベル診断と称した尋問のような英語面接をされ、案の定 「 初期コース 」 に入れられた。授業は一対一のかたちで、主に文法の初歩の初歩から教わっている。
悪魔の小指の爪の甘皮からだ。まだ奴の大きさすら見えてこない。倒すのには時間がかかりそうだ。先生が、1時間くらいかかる、と威した予習に4時間かけて、授業後には頭パンクしそうになりながら帰る。根性は普通の人よりある方だと思うけど、終わりの見えないキツい作業だ。
でもこういうのって、キッカケさえあれば … でしょ ? ある時本気で 「 さぁ、やろう !」 って思ってしまえば、あとはひたすらやるだけ、きっとそういうもの。だからキツいとか憂鬱とかはもちろんあるけれど、今まで避けてきた問題にやっと立ち向かっている自分に少しホッとしている。合宿や毎日の練習や、主将の重責や行事、これから始まる大学の試験など、色んなことが重なって忙しすぎて凹んだりもするけど、これからの半年~一年間の自分の成長に期待している。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳