第155回:悩める主将2

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僕は昔から、細かいことをいちいち気にしすぎる性格で、何かあるたびに白黒はっきり結論を出さないと気が済まず、納得のいく結論が出るまで考え悩み議論するタイプの人間だ。もう少しドンと大きく構えて、良い意味で大雑把に、広い心を持って生きていけたら楽なんだろうな~なんて最近よく思ったりする。そう、相も変わらず悩める主将の話である。

先日、一人の部員に停部という今までにない重い処罰を与えた。重大な規則違反があったからだ。我々3年役員がよくよく慎重に議論して停部に至った。今までにない大きな問題に、今までにない苦渋の決断をしたわけだ。

今回の件は 「 学校の部 」 という微妙な組織だからこその悩みだった。会社だったらクビだろうし、家族だったらとことん話し合い、ひょっとしたらグレーなままで許しあったかも。また個人対個人の問題なら、縁を切ってお終いにしただろう。部はその中間地点で、言ってしまえばただの柔道好きな他人の集合体。義務でもなければ抜けられないようなしがらみもない。その中のただの一学生が、他の一学生の将来を大きく左右するような審判を下すのは間違っているかもしれない、とも思う。が、この微妙な位置づけの組織の中で今これを許してしまったら、体育会柔道部が体育会柔道部としての意味を失ってしまう気がしたのだ。今回の議論では、「 退部 」が相当との意見も半数あった。そうやって切ることが正しいのか、「 まぁ別に良いや 」 で終わらせるのが正しいのか、答えは出ない。こんな苦い思いをしたのに、彼にその思いが伝わったようにも思えない。本当に難しい。

きっと僕はこの先も、この件をウジウジ考えるんだろう。まったく、やれやれだよ。

更新:2013-02-09
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳