第177回:また一つ大人になる
先週火曜2日から日曜7日まで慶應三田キャンパス綱町道場で、暑中稽古なるものをやった。これは寒稽古の兄弟分で、朝5時半から練習する、いわゆる精神修行的な要素の強いやつだ。慶應幼稚舎 ( 小学校 ) 生から塾高生、大学生、OBに至るまで、この年に二回のデラ朝早い練習でみんなが一同に会す。歴史と伝統を重んじる慶應らしい微笑ましい雰囲気に満ちたイベントである。
僕自身は早起きは苦手じゃないし、後輩と練習するのも嫌ではない。でも毎年毎年何が困るって、道場の狭さだ。三田道場は一試合場の広さしかない。普段日吉の二試合場の道場で大学生だけで練習していても狭いと感じるほどなのに、その半分のスペースで大学生40人、塾高生15人、幼稚舎20人、OB数人が同時に練習出来るはずがない。怪我したくないしさせたくないし、例年僕は端に立って練習を見ながら声を出すくらいしか出来ない。要するに練習にならないのだ。
そこで今年はこの練習法の改革をした。ごく大雑把に言うと、大学生を選手 ( 14人) とその他 ( 25人 ) に分けて、交代で一方が外でラントレ、一方が道場で練習する。何時まで走って、何時から幼稚舎と触れ合って、SFC1限の人を何時に抜けさせて、など細かい時間設定が必要で上手くいくか不安だったけど、これがなかなかの成功。追い込んだ練習・トレーニングが出来たし、先輩後輩との交流も円滑だった。そんなこんなで柔道的なこと以外に、一つの企画を計画・実行して成功したというちょっと違った達成感や充実感も味わった暑中稽古になった。
主将になって、時間的に忙しいのはもちろん、嫌なことやキツいこと、気まずいこともたくさんあって、無力感も感じる一方、こんな達成感もあったりして、色んなことを経験しながら一つ一つ大人になってきているのかもしれない、と最近よく感じる。
「 世の中、理不尽なことの方が多い 」
大学入ってからよく言われたし、僕だってそんなことはよく分かっている。でも理不尽なことが多いからといっていつも 「 まあしょうがない 」 と諦め我慢するのは性に合わない。主観ではあっても、生意気だと叩かれても、間違っているものは間違っている、と大声で言いたい。だから逆にそれが間違っていると思う者とは喜んで話合うよ、みんな。とりあえずあと5カ月間、決してメゲることなく、自分の信じること、考えることを前面に出して色々なものと戦っていきたい。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳