第191回:第65回柔道早慶戦
先週日曜日13日、慶應日吉キャンパス柔道場で柔道早慶戦が行われた。今年は20人の勝ち抜き戦で、オーダーは段位の低い順。チームで唯一四段の僕は大将で臨んだ。結果は4人残しで慶應の勝ち。勝ち抜き戦で慶應が早稲田に勝つのは30数年ぶりとのこと( 一昨年の勝ち抜き戦では、大将の僕が相手の大将と引き分けて、結果引き分けに終わった )。4人も残されたのだから、当然大将の出番はなかったわけで、心身共にしっかり照準を合わせて控えていた僕としては肩透かしを食らった気分だった。「 座り大将 」 初体験となったわけだ。
かなりの差を付けてライバル早稲田に勝つことが出来た一番の理由は 「 かなりの差を付けて勝てる、と選手の誰も思っていなかった 」 ことだと思う。僕自身も、相手のオーダーを見て、後ろの5人 ( 相手の16人目から大将まで ) くらいを相手にするイメージで準備していた。
これがまさに、僕がいつも言う挑戦者の気持ちなのだ。自分達の方が強い、なんて一瞬でも思ってしまったら、心のどこかに緩みが出来て良い成績など出せない。「 挑戦者として、格上の相手に全力でぶつかる 」 という気持ちが、普段の練習から必死さを生み、スキを無くしていく。獅子は兎を狩るにも全力を尽くす、と言ったところ。別に慶應と早稲田が獅子と兎だと言ってるんじゃなくて、余裕ブッこいてたら勝てるものも勝てません、ってことだ。
これが僕の思う理想の心理状態で、去年のこの早慶戦で 「 圧勝する 」 と言って臨んだ時との差だと思う。
そして勝った後に大切なことは、この勝ちをいかに早く忘れることが出来るか、だ。負けたチームはもうその日から必死で来年の準備をし始める。我々はそれを勝者として受けてはいけない。また挑戦者にならなければならない。今年のパンフレットに載せた挨拶文にも書いたけど、伝統や過去の勝利は関係ないのだ。毎年毎年、そのメンバーで臨む最初で最後の試合。そう切り替えて頑張っていきたい。と言っても、僕はもうこれには出ない訳だから・・・頑張っていってもらいたいね。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳