第204回:下町ロケット

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先週の水曜日、「白い巨塔」 の最終回を見て一人泣いた日。実は、もう一つ別の涙を流した私であった。
その犯人こそ 「下町ロケット」 である。

半沢直樹シリーズで有名な作家・池井戸潤さんの代表作。2011年に直木賞を受賞しているこの小説がついこの間文庫本となって発売された。
いつかも書かせてもらったが、池井戸さんの小説は読みやすい。文章に特別な捻りがなく事実をテンポ良く書き連ねていて、小説と言うより雑誌で詳しいニュースを読んでいるような感じだ。気になる展開も疑問も、まぁ大概のことは次の章あたりで解決する。次から次へと事件が勃発、一難去ってはまた一難の繰り返し。飽きずに一気に読めてしまう。これが実に気持ち良い。

「下町ロケット」 は、これの映画化の際のCMでおなじみの 「 この部品なしでロケットは飛ばない 」 というお話だ。軸は製作プロジェクトと言うより特許の話かな。まぁ内容はさておき、最後にロケットが宇宙に向かって打ち上げられた時、夜中12時、僕は一人泣きながらガッツポーズをした。
「 白い巨塔 」 を観るのと同じ時期に読んでいたということで、財前さんと同じくらいこの本の技術者たちを好きになり応援していた。財前とは違い、上手くいかないことや壁ばかりで失敗もたくさんしてきた彼らが、最後の最後に成功した時は本当に嬉しかった。ちょうどその日の昼に財前を亡くしたばかりで、ポッカリ心に空いた穴を見事に塞いでくれる一作であった。

二つの物語を通じて、目標や夢に対する追求の仕方は様々だが、決して諦めない貪欲な姿勢は私も見習っていかなくてはならないな~。と、とりあえずまとめておく。

更新:2014-02-06
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳