第208回:OVO
一昨日の水曜日、先月から来日している世界のサーカス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演をお台場ビッグトップに見に行った。香取慎吾さんを中心にフジテレビで盛んに宣伝している 「OVO(オーヴォ)」。夜7時からの公演、僕は今春から所属する新しい柔道部の何人かを乗せて車でお台場に向かった。
比較的遅い時間だったからか平日だったからか、夜のお台場ってイメージより暗い場所。と言うより暗いスペースを選んでテントを建てたのか、いずれにせよ、近くに他の光源が無い真っ暗な闇の中に輝く巨大テントがポッカリと浮かんでいた。そこから発せられた6本のサーチライトがゆっくりと雲をかき混ぜている。( とりあえずこれでバットマンを6人は呼べそうだ。)夕方から一段と激しくなった雨が、そのライトの道筋に細かい線をキラキラと無数に描いている。幻想的かつちょっと不気味、これから非現実的で危険な世界に足を踏み入れて行くような、不思議なワクワク感を掻き立てられる演出であった。
公演はとても新鮮で面白かった。と言うより「凄かった」の方が適切か。自分の体をあんな風に操れたら楽しいだろうな~、って感じ。我々競技アスリートは普通の人たちに比べて筋力や柔軟性に関する知識が豊富だからその分、彼ら彼女らの凄さがよく分かる。あの動きは体幹がヤバい、とか、あいつスクワット超上がりそう、とか、隣席の同期と分析しながら鑑賞させてもらった。
物足りなかったのはストーリーだ。僕がサーカスってものをあまり分かってなくて、ミュージカルなんかと混同している部分があるのかもしれないけど、宣伝で 「 これは命の物語 」 と言っているほどにはストーリー性がなかった。これなら単純に「虫」ってだけのテーマで、体術を披露していく方がシンプルで面白かったかも、と思った次第。
何にしろ面白い経験をさせていただきました。ありがとうございました。
慶應義塾大学 総合政策学部 藤井 岳